仙台スポーツ
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Interview

FOOTBALL

高さと速さに、タフさも身に着けたアピアタウィア久選手。失敗を恐れない勇敢なルーキーの成長は、まだまだ止まらない【前編】

(提供:ベガルタ仙台)

 

191cmの長身で相手の攻撃を跳ね返し、スピードを生かしてピンチを未然に防ぐ。大卒ルーキーのDFアピアタウィア久選手が堂々としたプレーぶりを見せています。愛知県出身でガーナ人の父と日本人の母の間に生まれたアピアタウィア選手は、サッカーの名門・流通経済大学を卒業し、仙台で幼い頃からの夢であるプロサッカー選手となりました。CBの一角として試合出場を重ね、存在感を増している23歳にお話を伺いました。(全2回)

 

―プロとして1年目のシーズンを過ごしていますが、ここまでの約9ヶ月を振り返ってどんなことを感じますか。

「初めてのプロサッカー生活で、始めはいろいろと苦い思いもしました。それでも試合を重ねるごとに、どんどん成長できているということは感じますね」

―苦い思い……、世に言う「プロの洗礼」でしょうか。

「そうですね。思い出すのはホームの川崎フロンターレ戦(第2節・アピアタウィア選手は先発フル出場)、1-5で負けた試合です。あの時は精神的に一番きつかったですね」

―新人選手には苦い経験ですね。あの頃はまだシーズン初めでしたが、そこからどうやって気持ちを立て直したのですか。

「やっぱりサポーターや家族、友人等、自分を応援してくれる人がたくさんいるので、『そういう人たちのために頑張ろう』と思ってやっていましたね」

―それでもさすがに、5失点はDFとしてはきついですよね。

「いや……、本当にきつかったですね(笑)」

ベガルタ仙台 アピアタウィア久選手

相手FWにもスピードと素早い反応で対応するアピアタウィア選手(提供:ベガルタ仙台)

 

―ベガルタ仙台への加入が内定していた昨年は、大学4年生で「JFA・Jリーグ特別指定選手」として、リーグ戦6試合に出ていますね。

「去年は、何といってもデビュー戦(2020シーズン第8節横浜F・マリノス戦)の印象が強いです。試合前には、めちゃくちゃ緊張したんですよ。結果としては敗れてしまいましたが、試合自体は結構うまく行った感覚があります。その試合で自分も『Jリーグで通用するんだな』と思えました。大きな自信になりましたね」

―大学を卒業して、正式にプロ選手となってベガルタ仙台に入団しましたが、今年が「1年目」という感覚はありますか?

「いえ、2年目という感覚の方が強いです」

―昨年からチームの一員としてプレーしているので、「ルーキーだけどルーキーではない」という感じですか。

「そんな感じですね」

―通常のシーズンだとユアスタいっぱいのサポーターがスタンドで応援歌を歌い、熱狂的な声援が響きます。しかしアピアタウィア選手は昨年コロナ禍のデビューで、今年もまだその雰囲気を味わえていないですね。

「経験してみたいですね。スタジアムで直接見ることはできていないですが(過去の応援の様子を)YouTubeで見ました。鳥肌が立ちましたし、本当にすごいと思います」

ベガルタ仙台 アピアタウィア久選手

第26節FC東京戦では高さを生かしてプロ初ゴールをマーク(提供:ベガルタ仙台)

 

―様々な試合経験を通して、今はどんなところに自分の成長を感じますか?

「以前は一度ミスをしたら、ずっと引きずってしまっていました。メンタル的に弱かったです。今はミスをしてもあまり気にせず切り替えて、しっかり自分のプレーができるようになった。そこが一番成長したところかなと思います。」

―気持ちの切り替えがうまくできるようになったきっかけはありましたか。

「何かのきっかけというよりは『経験』ですね。試合を重ねたことによって、自分自身どんどん強くなっていったと思います」

―ここまでリーグ戦は25試合に出場。CBの一角として欠かせない存在になってきましたね。

「仙台では主に平岡(康裕)さん、吉野(恭平)さんの二人が、CBとして出場していました。一緒にトレーニングをする中でその人たちから自分に無いものを吸収することができた。それが、自分も試合に出られるようになった要因だと思います」

―自分に無いものというと、克服したい課題にもつながりますか?

「はい。相手の攻撃をつぶすとか、自分のスピードを生かして味方をカバーするということはある程度できていると思います。課題や成長させなければいけないところは、ビルドアップ(攻撃の組み立て)の部分です。もっとチームの攻撃を活性化できる選手になりたいですね。平岡選手や吉野選手はそういうところが本当に上手い。そういう選手を参考にしてもっと成長できればいいと思っています」

ベガルタ仙台 アピアタウィア久選手

平岡康裕選手(右)や福森直也選手(中央)ら、経験豊かなDF陣とし烈な競争がある

 

―練習後には吉田賢太郎コーチについてもらって、マンツーマンで居残り練習をしていることもありますね。

「自分の課題と思っていることなど、練習が終わった後にプラスアルファで見てもらっていて、その中で自信のつく言葉をかけてもらっています。『お前はこれができれば世界に出られるから』『日の丸を背負える(日本代表選手になれる)ポテンシャルがあるから』と。本当に嬉しいですね」

―世界や日の丸という言葉も出ましたが、未来にはどのようなビジョンを思い描いていますか?

「世界に出るというところでは、自分はドイツのブンデスリーガが好きで興味があります。CBが強くて速くて、身長もデカくて……自分と似ているタイプが多いんです」

ベガルタ仙台 アピアタウィア久選手

陽気な性格のアピアタウィア選手の周りには常に笑顔が広がる

 

―海外に出ていくために、より磨いていかなければいけないところは?

「自分の弱みを克服することもそうですが、強い部分をもっとパワーアップさせること。対人やスピードの部分はもっと伸ばせると思います。総合的に成長して一回り、二回り大きくなれればいいかなと思います」

―サッカー日本代表という夢についてはいかがですか。

「代表は小さい頃からの誇りですね。代表に行きたいと思わない選手はいないと思います。自分も行きたい。でもまだまだ、そこに行くには力が足りないので、もっと成長できるようにしたいです」(続く)

村林いづみ
村林いづみ

フリーアナウンサー、スポーツキャスター。2004年からラジオでベガルタ仙台のトーク番組を担当し、2007年よりスカパー!や DAZNで中継リポーターを務める。ベガルタ仙台レディースは2012年のチーム発足時より取材を開始。ヒーローインタビューと勝利の祝杯を何より楽しみにしている。