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Interview

VOLLEYBALL

リガーレ仙台 小澤史苑選手インタビュー(後編)思い出の地で始まる、新たなバレーボール人生。「楽しんでプレーする姿を見てほしい」

高校時代は古川学園高校の主将として活躍した小澤史苑選手。大学卒業後に宮城に戻り、リガーレ仙台の一員として、新たなバレーボール人生をスタートさせました。後編では、10月から始まるVリーグに向けての意気込みや、注目してほしいポイント、応援する人々に向けたメッセージを語ってもらいました。

 

―地元のアスリート同士での交流はありますか?

マイナビ仙台レディースに所属している、(福田)まいちゃん、(福田)ゆいちゃんとは仲良くさせてもらっています。まいちゃんが同じ日体大(日本体育大学)出身だったんですが、日体大って集団行動の実技があるんですよ。そのときに一緒になって、それからずっと仲が良いですね。去年、(双子の姉の)ゆいちゃんが仙台に移籍してきたので試合を観に行きましたし、今年はまいちゃんも移籍したので、また観に行きたいなと思っています。あと、まいちゃんとゆいちゃん、料理がめっちゃ上手なんですよ。さつま芋やかぼちゃのタルトを作って、家まで届けてきてくれるんです。本当に優しいですよね。学年は後輩なんですが、もはやお友達といった感覚です。

―小澤選手は、普段自炊はあまりしないんですか?

ほとんどしないですね。でも、今年のお正月はコロナの影響で帰省ができなかったので、帰省できなかったチームメート3人ぐらい集めて、私がお雑煮を作ってあげたんですよ!ただ、私が作ったお雑煮が、みんなの家で出されているお雑煮とは少し違かったらしくて……。父親が愛知出身で、いつも正月は愛知に家族で行っていたのですが、そこで出される雑煮は煮物みたいな感じなんです。味付けも甘くて、具材もゴロゴロしたのを入れてたんですよ。でも、みんなの家のお雑煮を聞いたら、大根や人参を細く切ったものを入れるって言われて、「そんなの食べたことないよ!」って思って(笑)。

―食べ物の話題が多いですが、アスリートとして常に体を整えるのは大変じゃないですか?

元々、太りにくい体質なのもありますが、練習以外にも週1回はトレーニングジムに通うようにしています。あとは、仕事でもたくさん動いているので、今のところはそこまで困ったことはないですね。ただ、大学のときにひざを手術しているんですが、ちょっとでも体重が増えると「ひざの調子が悪いな」といった感覚が出てくるときがあります。なので、みんなで外食するときは好きなものを好きなだけ食べるけど、平日に1人でいるときは炭水化物を摂らずにたんぱく質を多めに摂る、といった調整はしています。たくさんの協力のおかげでバレーボールをさせてもらっているので、自分の管理不足でプレーに影響してしまったら元も子もありません。ひざの調子が少しでも悪くなったらベストのパフォーマンスは発揮できないので、そこは気を付けるようにしています。

リガーレ仙台 小澤史苑選手

―さて、10月にはVリーグがいよいよ始まります。前哨戦となる7月のサマーリーグでは格上のチームにも勝利するなど、好成績を収められました。

久しぶりの試合ということもあって、とても楽しくプレーできました。おそらくうちのチームが、どのチームよりも楽しんでバレーができていたと思います。挑戦者という立場だったので、変なプレッシャーもなく、全力で向かうことができました。それで、格上のチームに対しても、ひるむことなく戦うことができて、それが良い結果につながったのかなと感じています。

―サマーリーグでは、負傷中の大貫菜生選手に代わって、キャプテンも務められました。

大貫は、みんなを大切にする、場を和ませるタイプのキャプテンでしたが、私はどちらかと言うと、こうしてほしいという要求を積極的に口に出すタイプです。なのでチームを「まとめる」というよりかは、みんなが同じ意識を持ち、同じ方向を向けるように、チームを「引っ張る」といった役割を果たしていきたいです

リガーレ仙台 小澤史苑選手

―Vリーグでは、どういったところに注目してほしいですか?

チームとしては、サマーリーグもそうでしたが、楽しんでプレーする姿を見てほしいですね。もちろん勝負ごとなので、絶対に勝ちたいという気持ちを持って戦っていますが、試合を観てくれた人が「このチームを観ていると楽しいな」と思ってもらえる、そんなチームを私たちも目指していきたいです。また、個人としてはパワーよりもテクニックで勝負するタイプなので、そうしたプレーに注目してもらいたいです。特にバレーボールをやっている小中学生の中には、身長が小さくて、思いっきりスパイクを打てないと悩んでいる子どもたちも多いはず。そうした子どもたちに「こういった点の取り方もあるんだよ」というのをプレーで見せてあげることができればと思っています。

リガーレ仙台 小澤史苑選手

―高校時代を過ごした宮城でVリーグを戦えるのは、感慨深い部分もあると思います。ちなみに古川学園高校の恩師である岡崎典生監督とは今でも親交があるんですか?

そうですね。いつも急に「今日空いてるか?」って連絡が来て、ご飯に連れてってもらったり、練習を見に行かせてもらったりします。それに、古川学園とは練習試合をさせてもらうときもあるので、そこでお会いすることも多いですね。たまに後輩たちの試合を見に行くこともあるのですが、最近の全国大会では優勝まであと一歩のところまで来ているので、ぜひ日本一を目指して頑張ってほしいです。

―最後に、宮城で応援する人々へのメッセージをお願いします。

たまに試合で高校時代にお世話になった審判の方ともお会いするのですが「顔が変わらないね!」とよく言われます。そうやって高校時代の私のことを覚えてくれているのは、とてもありがたいし、うれしいですね。とは言え、バレーボールの部分では、少なからず成長した部分があるはずなので、高校時代を知っている人に「私も大人になりました!」という姿を見せられればと思っています。また、宮城に戻ってきて、改めて宮城はプロスポーツが盛んな県だなと感じています。その流れにリガーレ仙台も乗っかって、一緒に宮城のスポーツを盛り上げていきたいです。

 

(了)

取材日=2021年8月7日

Photo by 土田有里子

 

■プロフィール

小澤史苑(おざわ・しおん)◎1997年3月17日生まれ、東京都出身。古川学園高校では主将を務め、インターハイ3位、国体4位の成績を残す。卒業後は日本体育大学に進み、1年時に全日本インカレで準優勝を経験。その後トライアウトを経て、2019年にリガーレ仙台に加入。ポジションはアウトサイドヒッター。身長170cm。

 

郷内 和軌
郷内 和軌

1992年10月14日生まれ、岩手県一関市出身。一関第一高校卒業後、仙台大学体育学部スポーツ情報マスメディア学科に進学。アルバイト等で執筆経験を積み、2015年4月より岩手県盛岡市の制作会社「(株)ライト・ア・ライト」に入社。地域限定スポーツ誌「Standard」の制作等に携わり、2019年4月よりフリーランスとして活動中。