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Interview

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チャンネル登録者数88万人 気仙沼出身のストレッチ系YouTuberオガトレ【後編】未来の子どもたちへ 地元で活動を続ける想い

国内最大級のストレッチチャンネル「オガトレ」こと尾形竜之介さん。彼が生まれ育ったのは、宮城県の最北端にある気仙沼市。2021年5月より放送中のNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」の舞台として、今注目を集めています。

インタビュー後編では、88万人以上のフォロワーを誇る人気YouTuberでありながら、現在も気仙沼市で活動を続けるオガトレさんの地元への想いと、これからの展望を伺いました。

 

田舎における「YouTuber」という肩書

ー仙台の専門学校を卒業後、なぜ気仙沼に戻ることを選択されたのでしょうか。

「それは……震災ですね。

卒業後は関東に行って、理学療法士として働いていっぱい勉強するんだ、と思っていました。だけど専門学校1年生の頃、ちょうど自分が気仙沼にいない時に震災が起きてしまって。何もできない無力感みたいなものを、在学中の残り2年間、ずっと感じていました。

地元のために何かしたいと思った時、とにかく気仙沼にいないことには何もできないと思って。気仙沼市立病院で働く理学療法士が少なくて働き口もあったので、『これは行くしかないな』と」

ストレッチ系YouTuberオガトレ

日本を代表する港町である気仙沼。多くの漁船が並ぶ様は圧巻(ライター撮影)

 

それから現在に至るまで、地元気仙沼市で活動を続けるオガトレさん。

「10年後のじぶんを大切にしよう。」をテーマに、ストレッチに役立つ商品を届けるため立ち上げたブランド「Gi(ジーアイ)」では、国内製造・高品質にこだわった気仙沼発の商品を展開。

第一弾であるストレッチ専用コーヒーは気仙沼で人気のカフェ「アンカーコーヒー」さんとのコラボで実現したものです。

ストレッチ系YouTuberオガトレ

Gi Coffee(ご本人提供)

 

「Gi」商品の第二弾、ストレッチ専用国産Tシャツ「Gi T-shirt」は気仙沼本吉地域の老舗縫製メーカーとタッグを組み、生地選びから裁断、縫製、ラベルプリントまで、一貫して国産製造にこだわりました。

しかし、Tシャツ完成までの道のりは決して簡単なものではなかったと言います。

今や多くのフォロワーを誇るオガトレさんですが、本を出版するまでは地元での認知度はあまり高くなかったのだそう。

ー気仙沼では「YouTuber」という肩書をあまりよく思っていない方もいて、嫌な顔をされてしまうこともあったとか。

「最初はどこに行っても『お前、なんだ?』みたいな雰囲気でした。SNSが浸透していない田舎ではテレビが最強なので、YouTuberの悪いニュースを見て『ネットで何か悪いことをやってる人』っていうイメージがあったんでしょうね」

ー今回タッグを組んだ縫製メーカーも……?

「社長さんもYouTubeをあまり知らない方で、最初はネットビジネスをやってる若いやつがTシャツを作りにきた、と思われたみたいです。中国製のTシャツのカタログを持って来られて、これ見て作ったらいいんじゃないですか、っていうテンションで……。『いや違うんです!』と何度もきちんと説明して、わかってもらえました」

ー社長さんにはオガトレさんの熱意が伝わったんですね。

「モノづくりのこだわりがすごい、職人って感じの社長さんなんですよ。伝わって良かったです!」

Gi T-shirtは伸縮性や吸水速乾に優れた素材なので、ストレッチはもちろん他の運動にも最適。

サイズにもこだわっており、オガトレ塾の塾生に事前アンケートを実施。「脇の下が見えない」「背中がまくれ上がらない」「動きやすくするためにスリットを入れる」……といった細やかな調整をされているそう。

ストレッチ系YouTuberオガトレ

ストレッチ系YouTuberオガトレ

Gi T-shirt(フリーSサイズ、フリーMサイズ)Gi公式オンラインショップにて数量限定で発売中

 

未来の子どもたちの選択肢を広げる一例に

ーそういった苦労をされながらも、なぜチャレンジしやすい環境である都会ではなく、気仙沼で活動を続けるんでしょうか?

「YouTuberって立派な仕事だと思うし、こういう、今までなかった仕事が今後どんどん増えてくると思っています。今の子どもたちが大人になった時にもっといろんな仕事が増えているはずなので、そこに対して認知がない田舎の状況って最悪だと思っていて。

子どもたちがそういう大人に負けて、新しい仕事をやらないっていう選択肢はとってほしくない。いろんな仕事をやっていいんだよって、子どもたちの背中を押したい。『田舎でもYouTuberやっていいんだよ、生きていけるから!』って胸を張って言いたいんです」

ーあえて気仙沼で活動するのは、子どもたちの未来のためなんですね。

「そうですね。子どもたちの選択肢を広げる一例になりたいなと思っています。

あと、逆張りしたほうがかっこいいと思ってるんで!(笑)」

ストレッチ系YouTuberオガトレ

ーもちろん、地元で応援してくれている方もたくさんいらっしゃると思いますが、どんな時に実感されますか?

「新聞に載って(友人から)LINEが来た時ですね! 気仙沼では”三陸新報”に載るのが有名になる一番の近道です。地方紙なんですけど(笑)

実はあまり地元でのエールは感じないんです。でも少なからず僕のことを知っている人はいるはずで。影ながら応援してくれる人が多いんだろうなって感じています。

まだ気仙沼で大きな仕事をしていないので、市のPRになるようなことを一緒にできたらいいなと思っています」

 

ストレッチは国境を超える。様々なチャレンジに向けて

「体が硬くて困っている人をゼロに」という信念のもと、ストレッチの良さを広めるために様々な活動を行うオガトレさん。

2021年6月にはストレッチ業界初の新感覚ARストレッチ音ゲーアプリ「オガトレHIT」がリリースされました。

ーアプリ開発の経緯を教えてください。

「ストレッチって、メリットを感じるまでに時間がかかるし、やっぱり地味なものなんですよね。ストレッチを始めたいと思う人の取っ掛かりになるように、ストレッチ風のエクササイズを流行りの曲で楽しくできるものがあればいいなと思ったんです」

しかし、楽曲の使用許可申請にあたり、多くのレコード会社からお断りをされてしまい悔しい思いをしたといいます。そんな中、唯一使用許可が下りたのはなんとあの大ヒット曲、Adoさんの「うっせぇわ」でした。

ーあの「うっせぇわ」が収録されたのはすごいですね!

「感動しましたね。震えました(笑)」

ー現在、アプリはどのくらいダウンロードされているんですか?

「3万ダウンロードを超えました。いろんな人にやってもらっていますね。曲もこれから徐々に追加していきたいと思っています」

ーダウンロード数が増えれば、今後も人気曲が追加される可能性も……?

「そうですね! 実は現に2曲目も決まっていまして……。1回目の申請では断られてしまったんですが、2回目でこういうアプリが出ました、というのをちゃんとお伝えした上で許可が取れました。これからはいろんなところから声がかかるといいなと。むしろ『使ってくれ』って言ってもらえたらいいなと思いますね」

ストレッチ系YouTuberオガトレ

Gi Stand

 

アプリのリリースに合わせ、岩手・宮城県内の木材を使用したスマホ・タブレットスタンド「Gi Stand」を開発。スマホを立てかけながら、画面を上にスワイプできるよう絶妙な幅と高さに調整されているそう。(現在リリースキャンペーン中。詳しくはGiオンラインショップをご確認ください)

 

ーアプリの開発、ブランドの設立など、いろんな方面で活躍されているオガトレさんですが、ぜひ今後の展望を教えてください。

「オガトレが教えるストレッチを、もっといろんな人に知ってもらいたいです。そのためにYoutubeも引き続き頑張りますし、テレビにもどんどん出たいです。情熱大陸に出たいんですよ!(笑)

他にもいろんな企画にチャレンジしたり、ストレッチに関する活動はいろんなところとタッグを組んで続けていきたいなと思っていますね。

あとは、国外に向けてノンバーバルでわかるような動画を作っていきたいです。今TikTokで音ゲー動画を上げていて、フォロワーは海外の方が結構多いんです。なるべく言葉を必要としない構成で、ストレッチの動画も試そうと思っています。

人間の体が同じな以上、ストレッチは国境を超えるので。国外でも、もっとストレッチの良さを知ってほしいですね」

ストレッチ系YouTuberオガトレ

はじまりは、ひとりの女の子との出会い。日本全国、そして世界中にストレッチのすばらしさを広めるため、地元気仙沼のスタジオから優しい笑顔を届けます。

「体が硬くて困っている人をゼロに」を実現するために。日々新しい舞台で活躍を続けるオガトレさんに、今後も目が離せません。

 

オガトレ 公式YouTubeチャンネル

Gi オンラインショップ

 

Photo by 菅原大路

佐々木智萌
佐々木智萌

岩手県生まれ、宮城県育ち。運動センスがなくスポーツの経験はほぼありませんが、スポーツ漫画はめちゃめちゃ読みます! 地元の方に向けて、宮城・仙台のスポーツに関する情報をたくさん発信していきます!