
長野風花は、大きくはばたく時を待つ。 いつか、もう一度世界の舞台へ。日本を代表する選手になるために【前編】
Interview
FOOTBALL
日本初のサッカー女子プロリーグ「WEリーグ」の開幕が9月12日に迫っています。初夏のプレシーズンマッチで好成績を収めたマイナビ仙台レディースは開幕へ向け、更なるチーム力強化のため、宮城県石巻市と北海道網走市でキャンプを行っています。その中、選手として4年目を迎えるDF高平美憂選手がピッチで強い存在感を放っています。左サイドバック(SB)やセンターバック(CB)など、DFラインで活躍する彼女は得意の左足から大きなチャンスを演出します。今年からプロ選手となり、強い覚悟を背負って戦う彼女にWEリーグ開幕に向けた今の思いを聞きました。(全2回)
―暑い真夏のキャンプ、お疲れ様です。この時期、高平選手はどんなテーマを持ってトレーニングに打ち込んでいますか?
「いつもと変わらず過ごしてはいるのですが、今回のキャンプは『強化合宿』ということなので、さらにレベルアップするために今の自分に必要なことを考えながら取り組むようにしています。開幕が近づくにつれて、自分たちも準備をしていかなければいけないので、そこに向けて、技術もそうですが、気持ちの部分でも高めていくために強化合宿をしています」
9月に開幕を控え、技術も気持ちも高めていく
―個人として強化したい面はどういうところですか?
「SBをした時に、私は攻撃参加するのが好きなんですけど、その時にボールを受ける位置やスプリントのタイミングというところですね。どこで100%の力を出して、どこでセーブするか。それを90分の中でどれだけ出して、どれだけ維持できるかということを意識しています」
―プレシーズンマッチは3試合出場。その中で4バックのCBや3バックの左と異なるポジションを担当しましたね。
「今季、どの選手も2つ以上のポジションをできるようにと、松田さん(岳夫監督)は考えてくれていますね」
―その中で、どちらのポジションも遜色なくこなしていましたね。プレシーズンマッチの手ごたえはいかがでしたか?
「去年に比べて試合の出場機会が増えて、チームとしても戦術やサッカーの内容が変わりました。今まではFWにロングボールを当てて、それに向かって周りも走って……という形だったのが、今は『全員がボール保持者に対して追い越しをする』という形になりました。絶対孤立しないようなサッカーになっています。プレシーズンでは課題はあったんですが、実際にそれができたのかなというように感じました」
高平選手は楽しみながら、新しいサッカーに取り組んでいる
―高平選手として、実際に今年の「松田サッカー」に取り組み、どんな感想を持っていますか?
「練習内容も楽しいですね。松田さんは、できているところとできていないところをはっきり言ってくれます。『次にミスをしないようにしよう』『もう少しこうしていたらな』という風に前向きに考えられるようになりました。そうしたことから、守備の練習も楽しくできています」
―個人として求められていることはどんなことですか?
「私は『ボールを持った時に味方につなげてからオーバーラップする』というところが特徴なので、『駆け上がれ』『とにかく走れ』ということはいつも言われています(笑)」
―「とにかく走れ」と言われるんですね(笑)高平選手にそういうプレーがどんどん出てきた時に、チームのサッカーの魅力も増すということですね。
「はい、そうだと思いますね。『追い越せ!』と(笑)」
松田監督の言葉や考え方を選手たちはどん欲に吸収する
―他にも、高平選手が利き足の左で通す正確なロングパスは魅力的ですね。今の感覚として、その鋭さや精度はいかがですか?
「まだ精度は低いですね。10本蹴って、できたら10本とも成功させたいですけど……、少なくとも8本以上は成功できるようにと考えています。成功させるためには自分の立ち位置も変化させていかないと、上手く繋げないところもあります。わからない時は松田さんに聞いて、アドバイスを元に次の練習で改善していこうと取り組んでいます。完成度としては、今の段階ではまだですね」
高平選手はプレシーズンで大きな自信を得て、新しいシーズンに挑んでいく
―松田監督の指導を受ける中で、新しい戦術や考え方もインプットしているところですね。頭の中の整理はどのようにしていますか?
「最初の、シーズン立ち上げの時は練習の内容もこれまでとは全く違っていて、とにかくボールに触るというサッカーだったので、最初の2~3か月間は『自分は追いついていないな』という焦りがありました。今は慣れてきたこともあって、自分の中の整理はできるようになりましたね。練習に慣れたことと、プレシーズンマッチで自分のプレーを出すことができたこと、チームとしても去年よりいい結果が出たということ。そういうことで自分に自信がついて、整理できるようになったのかなと思います」(続く)
Photo by 土田有里子
フリーアナウンサー、スポーツキャスター。2004年からラジオでベガルタ仙台のトーク番組を担当し、2007年よりスカパー!や DAZNで中継リポーターを務める。ベガルタ仙台レディースは2012年のチーム発足時より取材を開始。ヒーローインタビューと勝利の祝杯を何より楽しみにしている。