仙台スポーツ
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Interview

FOOTBALL

長野風花は、大きくはばたく時を待つ。 いつか、もう一度世界の舞台へ。日本を代表する選手になるために【前編】

 新しいチームで、良い「風」に乗る。更なる高みを目指して。今季、ちふれASエルフェン埼玉からマイナビ仙台レディースに加入したMF長野風花選手はピッチの中央で輝きを放つ。広い視野に的確な状況判断。ボランチの一角として、攻撃の組み立てを担い、その力を存分に発揮している。「上手く賢く、誰よりも戦う姿勢」をピッチで表現する彼女に、これまでのチームで得たもの、そして今の思いを聞いた。(全2回)

 

―仙台での新生活が始まって約4ヶ月。日々の生活はいかがですか?

「すごく仙台は住みやすいですね。すぐに慣れました。(前所属の)ちふれ(ASエルフェン埼玉)の時は(埼玉県)飯能市に住んでいました。自然が豊かなところでした。仙台は何でもありますね。どこに行っても何でもある。とても便利ですね」

―チームに溶け込むのも早かったですね。

「そうですね。年代別の代表で一緒だった選手もいるし、何度も試合で対戦していたりして、ほとんどの選手を知っていました。それに、みんな本当に優しくて明るい選手ばかりなので、すぐになじめました」

マイナビ仙台レディース 長野風花選手

―そのチームの中での長野選手のキャラクター、立ち位置はどうですか?

「どうですかねぇ……。楽しいことが好きなので、結構みんなとふざけたりしています(笑)」

―長野選手の「風花(ふうか)」という素敵な名前は誰がつけてくれたんですか?

「父ですね。出生届を出す期限のギリギリのタイミングで、それまで母もいろいろ提案してくれていたんですけど、全然しっくりこなかったらしくて。父がギリギリになって『風花は?』と。それで決まったらしいです(笑)この名前にしたのは、『響きが可愛いから』らしいです。自分としては、気に入っているというか……、そうですね。『風花』で生きてきましたね」

マイナビ仙台レディース 長野風花選手

チャンスの数を増やすために、共通理解を深めたい。

―秋のWEリーグ開幕を前に、4月からプレシーズンマッチがスタート。公式戦に近い形の試合をする中で手応えは感じていますか?

「試合を通して自分たちがやりたいことを出せているシーンはあるんですが、その数がまだ少ないです。もっともっと共通理解を持って、選手同士でやりたいことを合わせていってチャンスを作れれば、よりいい試合になるなと感じています」

―プレシーズンマッチ初戦は、三菱重工浦和レッズレディース戦。浦和の下部組織で育って高校からトップチームでプレーした長野選手にとっては特別な思いもあったのでは?

「駒場スタジアムで試合をすること自体がすごく久しぶりだったので、浦和のサポーターの方々の熱も感じて、自分としても楽しい試合でした。でもやっぱりチャンスが多い中で、あの試合で勝ちきりたかったなという思いがあります」

―試合中は、視野の広さが光りました。

「見るということも大事ですけど、『相手がここにいたら、次はこうだ』とイメージしています。絶対こうなると決めつけるわけではないですけど、イメージはいろいろな試合を見て持つようにしています。もちろん自分が実際にプレーしていて感じることや見えるものはたくさんあります。それに加えて、高いレベルのサッカーを見ます。結構、サッカーの映像を見るのが好きです。ただ見るのではなく、いろんなことを考えながら見るようにして、それを自分の試合で生かしたいなと思っていますね」

マイナビ仙台レディース 長野風花選手

―どんなリーグやチームの試合映像を見ますか?

「サッカーがリーグによって全然違うんですよね。プレミアリーグの試合はよく見ています。どのチームとかこだわりはないですね。システムとか……見ていますね」

―最近印象に残ったのはどんな試合ですか?

「女子のチャンピオンズリーグの決勝(チェルシー対バルセロナ。4-0でバルセロナが初優勝)ですね。スピード感や技術の高さなどは見ていてすごく楽しかったです。自分も実際そういう強度の高い中でプレーをしてみたいという思いもあります」

―海外でのプレーは長野選手の目指すところでもありますよね。

「もともと海外でプレーしたいという思いはずっとあります。常にそういう姿をイメージしながらやっているところはあります」

マイナビ仙台レディース 長野風花選手

韓国強豪チームで得た刺激。試合を決めきる強さを学んだ一年。

―2018年には韓国WKリーグの仁川現代製鉄レッドエンジェルズへ移籍しました。どんな一年間でしたか?

「新しく環境が変わりましたね。私が行った仁川は代表選手ばかり。ブラジル代表の選手もいました。彼女たちからは本当に、ゲームを決める力や勝負強さを学びました。新しい刺激がたくさんあった一年でした」

―強いチームの中で磨かれるものは大きいですね。

「仁川は、(昨年までで)リーグ8連覇だったかな。総合的に見て、選手も大勢いるし、チームの規模の大きさもWKリーグで一番です。ギリギリの試合を引き分けではなく、しっかり勝ちきれるというところが強さでしたね」

―今、日本の女子選手も多く韓国WKリーグでプレーしていますね。そこでの収穫はどういうものだったと感じていますか?

「韓国は日本のサッカーに比べてスピーディーというか、展開がオープンだったりします。外国籍選手も多く、個の能力が高いので、そういった部分では1対1の対応や、一人で状況を打開する力は成長した部分だと思います」

―一人で局面を打開していかなければいけない場面は多かったですか?

「そうですね。でも、私のチームは韓国の中でも結構ボールをつなぐチームだったので、そこまで大変ではなかったですけど。レベルが高く、『これくらいできるでしょ?』というようなポジションを取られたりもしていたので、そこは違うところですね」

―韓国での生活や文化の違いはどうでしたか?

「韓国はすごく良かったです。ご飯も美味しいですし、韓国人の方はすごく優しくて面倒見が良いです。年上の人が年下の選手に対して『なんでもやってあげる』という感じなんですよ。なので、とてもなじみやすかったですし、日本からも飛行機で、1時間半くらいで行き来できる。そういった面でも本当に良かったです」

マイナビ仙台レディース 長野風花選手

 韓国のチャンピオンチームで培った勝負強さは、持ち前の「戦う姿勢」を加速させた。大きな収穫を手に、帰国後彼女が入団したのは、なでしこリーグ2部(当時)のちふれASエルフェン埼玉だった。そこには、貪欲に自己の成長を求める彼女の姿勢があった。(後編へ続く)

 

Photo by 土田有里子

村林いづみ
村林いづみ

フリーアナウンサー、スポーツキャスター。2004年からラジオでベガルタ仙台のトーク番組を担当し、2007年よりスカパー!や DAZNで中継リポーターを務める。ベガルタ仙台レディースは2012年のチーム発足時より取材を開始。ヒーローインタビューと勝利の祝杯を何より楽しみにしている。