仙台スポーツ
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Interview

FOOTBALL

ソニー仙台FC 藤原元輝選手インタビュー(後編)「自分たちが頑張ることで、地域の人々に元気を与えたい」

 ソニー仙台FCの10番を背負う、仙台市出身の藤原元輝選手。2桁得点を目標に掲げる、在籍6年目の今シーズン。地元・宮城で応援してくれる全ての人々と優勝の喜びを分かち合うため、勝利を目指して全力でピッチを駆け回ります。

―サッカーを始めてから現在に至るまでの経緯をお聞かせください。

「サッカーを始めたのは小学4年生のとき、2つ上の兄の影響です。中学では一度、自分が通う学校の部活動に入りましたが、聖和学園高校の下部組織にあたる「FC Enable」というチームが立ち上がったので、そこに通い始めました。高校はそのまま聖和学園高校でプレーして、卒業後は東海学園大学に進みましたが、実は最初は別の大学に進むつもりだったんです。履歴書まで書いたのですが、同じ高校から5人ぐらいが東海学園大学に行くことになったので「だったら俺もそっちがいい!」とギリギリで進路を変えて(笑)。そしたら東海学園大学の安原(成泰)監督とソニー仙台の強化部の見田(雅之)さんが知り合いで、そのご縁があって卒業後に宮城へ戻ってくることができました。振り返ってみると、自分はとても恵まれていると思います。後先考えずに行動したら、トントン拍子でここまで来ちゃったという感じなので」

―聖和学園高校は加見成司監督の下、ドリブル主体のサッカーを志向することで有名です。当時の教えは、今もだいぶ活きているのではないでしょうか?

「そうですね。中学時代のチーム(FC Enable)でも、ドリブルだったり、リフティングだったり、個の部分を大切にしろと言われてきました。高校に上がってからもそうだし、東海学園大学も安原監督がそういった部分を大事にしてくださって、自分にマッチしたサッカーをさせてもらいました。なので、これまで大きな挫折もなく、楽しくサッカーができているという感覚はありますね」

―高校時代は震災も経験しました。10年前は高校2年生でしたが、当時の記憶はありますか?

「震災があった日は、松島で本庄第一高校(埼玉)と練習試合をする日でした。みんなでウォーミングアップをしていて、相手チームがそろそろ到着するというタイミングで地震が起こってしまって。そのままバスの中で待機して、みんなで携帯のワンセグでテレビの中継を見ていました。結局その日、学校に戻ってこられたのが夜中の1時頃。自分は実家に住んでいたので両親に迎えに来てもらうことができましたが、本庄第一の選手たちは帰れずにそのまま聖和学園の寮に泊まりました。また、聖和学園のチームメートには家が震災で被害にあった人もいましたし、それこそ「サッカーどころじゃない」という気持ちになりましたね。実際に震災があってから1、2カ月ぐらいは丸々サッカーができなかったので、改めてサッカーできることが当たり前じゃないんだと気付かされました」

―大学を経て宮城に戻り、今年で6年目になります。地元でサッカーをすることをどのように感じていますか?

「宮城でプレーしている分、やはり宮城のみなさんと一緒に、優勝の喜びを分かち合いたい気持ちが常にあります。いつもシーズンが開幕する3月の時期になると、震災の記憶は蘇りますし、「絶対に優勝しなければ」という思いになります。今のチームには、宮城出身の選手が自分と秋元(佑太)選手しかいないので、地元を代表するという意味でも、チームを優勝に導けるよう、毎試合強い気持ちで戦っています」

―ソニー仙台FCは多賀城市を拠点とされていますが、サッカースクールや社会貢献活動にも積極的に力を入れているとお聞きしています。

「以前であれば、毎週スクールに行って子どもたちと一緒にサッカーをしたり、多賀城市のお祭りに会社を代表して参加したりしました。あとは松島町のマラソン大会にも出場したこともありますし、各地域のイベントにもちょこちょこ出させてもらっていました。今はどうしてもコロナの影響で制限されてしまっていますが、その中でも、何かできることはないかと考えています。これまでもホームの試合では選手たちが中心になってイベントを企画することもありましたし、企業チームだからこそできることはたくさんあるはず。「地域密着」といった部分は、これからも大事にしていきたいですね」

―試合で活躍するだけではなく、地域を元気にするのもサッカー選手の役割なんですね。

「そうですね。近くにはJ1で戦うベガルタ仙台がありますが、たとえJFLであっても、リーグ戦で優勝したり、天皇杯で上位に勝ち進んだりすれば、注目度は上がってくるはず。シーズン前やシーズン後には、多賀城市の広報誌に取り上げてもらうことも多いので、地域のみなさんには良い結果を届けたいですし、自分たちが頑張ることで、地域のみなさんに元気を与えられればうれしいです」

―リーグ戦は長丁場の戦いになります。最後に改めて、今シーズンの意気込みをお願いします。

「今シーズンは32試合という長期戦なので、良いときもあれば悪いときも必ずあると思います。そこで崩れずに、いかに自分たちのサッカーを継続してできるかが大切になってくるので、1試合1試合、まずは目の前の相手に勝てるように準備していきたいと思います。また、個人としては2桁得点が目標です。これまでソニー仙台ではJFLの得点王になった選手がいないと聞いているので、そこは意識していきたいですし、得点だけでなくアシストも2桁を目指したいですね。まずはハードワークを徹底して、試合を観てくださる方々の心動かすようなプレーができるよう、頑張っていきたいです」

(完)

取材日:2021年3月9日

 

■プロフィール

藤原元輝(ふじわら・もとき)◎1993年12月25日生まれ、仙台市出身。173cm、65kg。ポジションはMF。小学4年時に四郎丸サッカースポーツ少年団でサッカーを始める。聖和学園高校では、インターハイ、全国選手権に出場。東海学園大学を経て、2016年、ソニー仙台に入団。18、20年にはJFLベストイレブンを受賞。リーグ通算125試合出場、39得点(2020シーズン終了時点)。

 

Photo by 土田有里子

郷内 和軌
郷内 和軌

1992年10月14日生まれ、岩手県一関市出身。一関第一高校卒業後、仙台大学体育学部スポーツ情報マスメディア学科に進学。アルバイト等で執筆経験を積み、2015年4月より岩手県盛岡市の制作会社「(株)ライト・ア・ライト」に入社。地域限定スポーツ誌「Standard」の制作等に携わり、2019年4月よりフリーランスとして活動中。