仙台スポーツ
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Interview

VOLLEYBALL

リガーレ仙台 大貫菜生選手インタビュー(前編)「キャプテンである以上、自分が一番ブレちゃいけない」

2021-22シーズンのVリーグ参入が決まった、女子バレーボールチーム「リガーレ仙台」。次の舞台に向けた準備が進む中、チームを先頭に立って引っ張るのがキャプテンの大貫菜生選手だ。新星リガーレの若き旗頭は、地元でバレーができる喜びをかみしめながら、強い責任と確固たる信念を持ち、コートの上で汗を流している。

 

―まずはリガーレ仙台に加入した経緯を教えてください。

リガーレ仙台が発足するという話を聞いたのが、大学4年生の夏前でした。当時はけがもしていたので、バレーに関しては「卒業後も続けられればいいな」ぐらいにしか考えていませんでした。でも、その話を聞いて「地元でまたバレーがしたい!」という気持ちがいちばんに湧き出てきて、プレーできる環境があるなら挑戦してみようと思い、8月にトライアウトを受け、翌年3月に入団となりました。

―入団当時のチームはどのような雰囲気でしたか?

新たに加わったメンバーのほとんどが自分の同学年の若い選手たちばかりだったので、どちらかと言うと「みんなで一からチームを作り上げていこう」といった雰囲気でした。ただ、私が加入する前から在籍していた、(佐藤)あり紗さん、(雨堤)みなみさん、(荻野)雅子さん、(今野)理子さんといった先輩方は、それまで少人数で試合もできない中で活動していたので、その分、チームに対する強い気持ちが感じられました。そうした先輩たちの熱い思いに自分たちも乗っかりながら練習ができていたので、団結力は最初の頃から強かったと思います。

―チーム加入後、個人としてはどのようなアピールしていきましたか?

高さのあるブロック、クイック、そしてパワーが自分の武器だと思っているので、ミドルブロッカーとしてその持ち味を全面に押し出すようにしてきました。ただ、まだまだ安定感は足りませんし、思い切って攻めきることができないといった気持ちの面での弱さも、入団当時からずっと課題にしているので、その部分はこれからも意識して取り組むようにしています。

リガーレ仙台 大貫菜生

―現在はキャプテンも務めていますが、これは佐藤あり紗選手兼監督から指名されたとお聞きしました。

キャプテンを告げられたのが今年の3月、年度の変わり目のときでした。発表の日、チームの全員が集まる前の午前中に、あり紗さんから連絡があって「これまでの(菜生の)練習に対する姿勢が今のチームには必要だから、それを出してほしい」と言われたのですが、バレー人生の中でもキャプテンは初めてだったので、とてもびっくりしました。自分はぐいぐい引っ張るタイプではないので、キャプテンになってからは、みんなに声を掛けながら「一緒に頑張ろう」という雰囲気づくりを心掛けています。それでも、まだまだ周りに助けてもらってばかりですが(笑)。

―やはりチームメートの存在は心強いんですね。

同級生が多く、少しでもうまくいかないときがあれば「こうすればいいんじゃない?」というアドバイスをくれるので、お互いに助け合いながら練習することができています。それに、先輩たちの存在もとても心強いです。特にあり紗さんは元日本代表なので、練習メニューからコンディショニングの部分まで、トップレベルで経験してきたことをチームにたくさん還元してくれます。自分たちが知らないことをいろいろと学べるので、大変貴重な時間を過ごすことができています。

リガーレ仙台 大貫菜生

―12月には、約9カ月ぶりの公式戦となる皇后杯もありました。結果は2回戦敗退でしたが、手応えはどのように感じていますか?

チームとしては、連係面ではうまくいった部分がありましたが、私も含めて、一人一人の実力はまだまだ足りていないと感じました。また、(敗れた2回戦の)岡山シーガルズ戦は相手がV1チームということで、実力の差をとても感じた試合でした。前半は自分たちが結構攻めることができていたのに、後半になるにつれて相手はしっかりと分析し、立て直してきた。さらに気持ちの面でも、安定感がすごかったですね。試合慣れしていましたし、ゲームの作り方という部分でも、さすがV1リーグのトップレベルで戦っているチームだなと思いました。

―ちなみにキャプテンとして過ごしたこの1年で、考え方や意識などに変化はありましたか?

キャプテンというチームを支える立場である以上、「自分が一番ブレちゃいけない」と思いながらプレーするようになりました。練習でも、試合でも、まずは自分が崩れないようにする。そうした意識は今まで以上に強くなりましたね。実は私、昔から「バカ真面目」って言われることが多いんです(笑)。うまく手を抜けないことが多くて、それが悪い部分につながることもありました。だけど「そこが菜生の良い部分だよ」と言ってくれる人もいるので、手を抜かない、妥協しないといった部分は、これからも自分の個性として大事にしていきたいと思っています。

(後編に続く)

取材日:2020年12月28日

■プロフィール

大貫菜生(おおぬき・なお)◎1996年4月7日生まれ、仙台市出身。南小泉中学校でバレーボールを始め、3年時にJOC宮城県選抜入り。利府高校、東海大を経て、2019年3月、リガーレ仙台に加入。20年4月からはキャプテンを務める。ポジションはミドルブロッカー。身長171cm。

Photo by 土田有里子

郷内 和軌
郷内 和軌

1992年10月14日生まれ、岩手県一関市出身。一関第一高校卒業後、仙台大学体育学部スポーツ情報マスメディア学科に進学。アルバイト等で執筆経験を積み、2015年4月より岩手県盛岡市の制作会社「(株)ライト・ア・ライト」に入社。地域限定スポーツ誌「Standard」の制作等に携わり、2019年4月よりフリーランスとして活動中。