
リガーレ仙台 小澤史苑選手インタビュー(後編)思い出の地で始まる、新たなバレーボール人生。「楽しんでプレーする姿を見てほしい」
Interview
VOLLEYBALL
2シーズン目のVリーグを戦うリガーレ仙台。チームの攻撃のタクトをふるうのが、在籍4年目セッター・加藤優奈選手です。159cmの小柄なサイズながら、類いまれなトスワークでチャンスを演出する司令塔。後編では、大学時代から過ごす仙台の地での思い出や、プライベートの過ごし方など、天真爛漫な彼女の素顔に迫ります。
―大学入学と同時に仙台へやって来てから、7、8年が経ちました。仙台の街には慣れましたか?
「だいぶ街には慣れたんですけど、私、道が覚えられなくて……(笑)。今、車を運転しているんですけど、カーナビを付けてもなかなか目的地にたどり着けなくて、同じ場所に行くのにも何回もナビを付けないといけないくらい、難しいです。でも、すごく住みやすいですし、温かい人がたくさんいる街だなあって思います」
―ご出身は栃木ですが、北関東と東北で、冬の寒さは違いますか?
「全然違います! 栃木も寒いことは寒いんですけど、宮城の寒さは『痛い』という感覚があります。風も吹くし、雪も降るし、めっちゃ痛いです(笑)」
―ちなみに、働きながらバレーボールをされているとのことですが、現在はどのようなお仕事をされているのですか?
「今は仙台駅にあるエスパル仙台で働かせていただいています。前日の売り上げだったり、クレジットの請求だったりを確認して、間違いがあれば正す、というような仕事をしています」
―1日はどのようなスケジュールでしょうか?
「練習がある日だと、朝の9時半に出勤をして、16時まで働かせていただいて、そこから移動して18時から練習が始まります。21時まで練習があるので、それが終わったらジムに行って少しトレーニングをしたり、走ったりして、帰宅するのはいつも23時頃ですかね」
―練習と仕事がある日だと、プライベートの時間はほとんど取れないですね。
「そうですね。あまり取れないです。プライベートの時間が、全部移動になってしまっています(笑)。ただ、月曜はだいたいチームの練習が休みなので、そのときはリフレッシュさせてもらってます」
―お休みの日は、どのようなことをして過ごされていますか?
「オフの日は、だいたい午前中はベッドにいて、寝て過ごしています。予定がなかったら、ジムに行くこともありますが、小澤(史苑)、末永(真由)、大貫(菜生)といった同期のメンバーたちと遊びに行くことが多いですね。基本的に、キャプテンの小澤史苑と一緒にいます(笑)。ちなみに最近だと、仙台大学の近くにある桜を見に行きました。宮城県内で行きたい場所のリストを作って、行ったらチェックして埋めていこう、みたいなことをやってます」
―これまで行かれた場所で、おすすめのスポットなどはありますか?
「去年になるのですが、末永と小澤と、今はチームを離れましたが高野(唯)の4人で、みんなで毎月5,000円ずつ小澤に渡して貯金をして、いいホテルに泊まろうという計画を立てました。それで年末、ちょうどリーグ戦がお休みの時期に、その貯まったお金で秋保の温泉に行くことができました。おすすめの場所と言いますか、行って良かったなあと思っています」
―その一方で、平日も休みの日もジムに行かれるとのことですが、自分に厳しく、ハードに追い込んでらっしゃるんですね。
「自分に厳しい……、いや、自分では自分に厳しいとは思わないんですけど、運動をできるときにしておきたいなっていうのはあって。今はこうやってバレーボールをさせてもらえていますが、年を取れば取るほどできなくなっていくので、今できるかぎりのベストを尽くしたいし、動けるうちに動きたいなという思いはあります」
―さて、リーグ戦の開幕まであと2カ月となりましたが、今季を戦うにあたり、昨季を振り返っての課題や改善していきたいところはありますか?
「粘りのあるチームではありますが、決定力という面では、ちょっと欠けている部分があるのかなというのは感じています。ディグをはじめ、レシーブ面はすごく安定しているので、相手よりもミスを出さないという部分で、点数を稼げていたところはあったと思います。でも、さらに得点を取るためには、スーパーエースのような存在がチームには必要です。そうした選手はなかなか出てきませんが、今いる選手をスーパーエースにしていくのが自分の役割でもあります。一人一人が輝ける道を見つけてあげる、それが今シーズンの自分の仕事なのかなと思っています」
―プレー面では、どういった部分を伸ばしていきたいですか?
「先ほどレシーブが安定していると言いましたが、この前のサマーリーグでは、これまで強みとしていたレシーブが崩れてしまう場面もいくつか見られました。そうなったときに、自分たちでどうやって軌道修正していくのか、そこはチームとしての改善点だと感じています。開幕まであと2カ月になりましたが、いろんなチームと試合を重ねていく中で、自分たちのミスを減らすこと、常にモチベーションを高く持ってプレーすることを突き詰めていきたいです」
―今季もリーグ戦では県内での試合が予定されています。昨季は最後のホーム戦が残念ながら中止となったこともあり、リガーレ仙台の試合を待ち望んでいる人はたくさんいるはずです。ファンのみなさんにはどんなところを見てほしいですか?
「まずは自分たちが楽しくバレーしているところを見てほしいです。もちろん、勝った姿を見せたいですし、みんなと一緒に喜びを分かち合いたいですが、それよりもまずは自分たちが頑張って、楽しんでバレーしてる姿を見て、一人一人が元気になってくれたらうれしいです」
―自身のプレーでは、どこに注目してほしいですか?
「私のプレーですか……。どんなボールでも諦めないという部分ですかね。おそらくそこが自分の良さであり、モットーでもあるので。そうした諦めない姿を、ぜひ見ていただけたらありがたいです(笑)」
―最後に、リガーレ仙台を応援するファンの皆さまに向けて、メッセージをお願いします。
「いつも応援ありがとうございます。今シーズンもあと2カ月で始まりますが、勝利できるように全力で準備するので、ぜひ会場に足を運んで、私たちの姿を見に来てください。これからもよろしくお願いします!」
■プロフィール
加藤優奈(かとう・ゆうな)◎1996年5月9日生まれ、栃木県出身。宇都宮文星高校2年時にセッターに転向し、卒業後は尚絅学院大学に進学。1年時から主力としてプレーし、インカレ出場、秋季東北リーグ優勝などに貢献。2019年、リガーレ仙台に加入。Vリーグ参戦1年目の昨季は正セッターとしてチームをけん引した。身長159cm。
Photo by 渡邊優
1992年10月14日生まれ、岩手県一関市出身。一関第一高校卒業後、仙台大学体育学部スポーツ情報マスメディア学科に進学。アルバイト等で執筆経験を積み、2015年4月より岩手県盛岡市の制作会社「(株)ライト・ア・ライト」に入社。地域限定スポーツ誌「Standard」の制作等に携わり、2019年4月よりフリーランスとして活動中。