仙台スポーツ
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Interview

FOOTBALL

川崎発、日体大経由のドリブラー大曽根広汰 活きの良いルーキーは誰よりも多く走り、チャンスを生み出す【後編】

(提供:ベガルタ仙台)

 

川崎フロンターレの下部組織で確かな技術を身に着けた大曽根選手は、大学進学から憧れのプロサッカー選手への道を切り開きました。期待のルーキーは高いコミュニケーション能力に加え、ここ一番で前に出ていくことができる度胸も持ち合わせているようです。後編では大曽根選手の武器であるキレのあるドリブルや相手を置き去りにするスピードの秘密にも迫ります。

 

―中学、高校時代を川崎のアカデミーで過ごし、その後、日本体育大学へ進学します。日体大を選んだ決め手はどういうところでしたか?

「練習参加をした時に感じた周りの選手の技術の高さ、そして自分でトレーニングできる環境が揃っていたので、そこが日体大に決めた理由です」

―入団会見では、「新人恒例の一発芸」として日体大伝統の応援「エッサッサ」を披露してくれました。

「一年生の時に男子はみんなやるので、どの競技の人でも日体大の人ならできると思います(笑)」

―「何か一芸を……」と振られて、迷いなく前に進んでやり遂げました。キレがすごかったです。

「いや、もしかしたら『何か振られるんじゃないか』という予感はありました。何かやってと言われたら『エッサッサをやろうかな』くらいに思っていたので、すっとできました。新人選手は俺しかいなかったので、何かを求められたらもう俺だろうと……(笑)覚悟はできていました」

ベガルタ仙台 大曽根広汰選手

新人選手恒例の自己アピール。大曽根選手は日体大伝統の応援『エッサッサ』を披露した(提供:ベガルタ仙台)

 

―遠藤康選手が終わった後に何か耳打ちしてくれましたね。

「『お前よくやったね。頑張ったね。大丈夫?』と。ヤスさん、すごい優しかったですよ」

―大学4年間はどんなことにフォーカスしてサッカーに取り組みましたか?

「まず、卒業後に絶対プロになるということは4年間ぶれずに考えてやってきました。それと、大学(の蹴球部)が当時関東2部リーグだったので、1部に昇格したいと考えて、個人としてチームとして取り組んでいました」

―プロへの入り口にもつながった、その4年間で一番伸ばせたところはどういうところでしたか?

「一番はフィジカルのレベルです。大学に入って、いろいろなトレーニングを取り入れたりして、筋肉量が増えて、パワーがつきました。小さくても簡単に当たり負けしない体を作りました。あとは、純粋なスピードのところは変わったかなと思います」

―スピードはどのように磨いたのですか?

「いろいろな要素があるんですが、ただ走るだけではなく、骨盤の周りの筋肉を鍛えることに取り組みました。それから坂道を走ったり、砂浜を走ったりと、一つのトレーニングだけではなくいろんなことに取り組んでいました」

ベガルタ仙台 大曽根広汰選手

小柄でも当たり負けしない。バランス感のある体幹を作り上げてきた(提供:ベガルタ仙台)

 

―キャンプでの練習やトレーニングマッチを重ねて、これは「Jリーグの舞台で通用する」と感じる、ご自身の武器は?

「スピードやボールを持った時の一瞬の駆け引き、ドリブルのキレは十分通用すると思ったので、それをコンスタントに試合のパフォーマンスとして出せれば。いいイメージは持てているので。その回数を増やすことが大事だと思います」

―やはり攻撃が好きなんですね。そこは期待して良いですか?

「そうですね。期待して……ください(笑)」

―得意な攻撃の形を教えてください。

「ドリブルじゃないですかね。ポジションは左サイド(ハーフ)なんですが、左でボールを持った時のドリブル。あとは味方がボールを持った時の(DFライン)裏への抜け出し。そこはどんどん、誰よりも回数多くやろうと思っています」

―長いキャンプで味方との連携面も磨けましたか?

「最初の頃に比べたら、この選手はどういう選手かということはわかりますし、逆に自分もこういう選手だということは伝えるようにしています。お互いにこうしたい、ああしたいということは、コミュニケーションを取れているので、連携面についてはどんどん上がっていると思います」

―昨年の仙台は大卒で新人の選手たちが出場機会を多く得て、チームの軸として活躍しました。そういう一年目のイメージは、今年ルーキーの大曽根選手も描けていますか?

「とにかく試合に出ること。得点とアシストを足して10点というところを目標に取り組んでいきたいです。それを達成するためには、とにかく試合に出ること、出続けること。ぶれずにやっていきたいです」

―お手本としたい選手や、この選手の「ここを盗みたい!」というところは見つけましたか?

「同じポジションで言うと、氣田(亮真)選手のドリブルや名倉(巧)選手のドリブルと狭い中でテクニックを発揮できるところ。遠藤選手のボールキープなど、自分にはないもの持っている選手や自分とは異なる特長を持った選手が大勢います。同じポジションを争うライバルでありながら、吸収できるところは吸収し、盗みたいなと思います」

ベガルタ仙台 大曽根広汰選手

多くの試合に出て活躍し続ける選手に。勝負のルーキーイヤーは始まっている(提供:ベガルタ仙台)

 

―どんな質問にも即座に応える反射神経の良さを感じます。取材はたくさん受けてきましたか?

「そんなに(取材に)慣れていないですけどね。スタッフのおかげです。インタビューはまだ3回目くらいです。」

―マイナビ仙台レディースユースには、妹さんの大曽根由乃(よしの)選手がいるそうですね。

「はい。今、高校2年生ですね。2人とも仙台でプレーというのはたまたまです。子供の頃は結構一緒にサッカーをしていました。妹は僕より負けず嫌い。負けてすぐ泣いてしまうような妹です。(妹も)プロを目指していると思うので、2人とも仙台でプロとしてサッカーをやれたらいいですね」

―将来的な目標を聞かせてください。

「中学高校で関わってきた先輩たち、田中碧選手(デュッセルドルフ、ドイツ2部)や三苫薫(サン₌ジロワーズ、ベルギー1部)選手がJリーグから海外に行って、日本代表になって戦っている姿を見ると自分も日本を代表して、チームの顔になれるような選手になっていきたい」

―プロサッカー選手として歩み出す2022シーズン。開幕への意気込みをお願いします。

「今季の初めから、J1復帰をチームとして掲げてキャンプに打ち込んできました。開幕戦から良いスタートダッシュをかけられるように、しっかりとキャンプを終えて仙台に帰りたいと思います」(完)

 

村林いづみ
村林いづみ

フリーアナウンサー、スポーツキャスター。2004年からラジオでベガルタ仙台のトーク番組を担当し、2007年よりスカパー!や DAZNで中継リポーターを務める。ベガルタ仙台レディースは2012年のチーム発足時より取材を開始。ヒーローインタビューと勝利の祝杯を何より楽しみにしている。