仙台スポーツ
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Interview

SWIMMING

森崎安加里選手インタビュー(前編)「宮城に貢献できる選手になりたい」未来に羽ばたく期待の中学生スイマー

2021年8月に千葉県で行われた全国中学校水泳競技大会において、女子200m背泳ぎで3位入賞を果たした仙台白百合学園中学校3年の森崎安加里選手。長身を生かしたダイナミックな泳ぎを武器に、中学3年間で大きな成長を遂げました。将来は国際舞台での活躍も期待される注目のスイマーに、飛躍となったこの1年の振り返りと、大好きな水泳に懸ける思いを聞きました。

 

―まずは水泳を始めた経緯を教えてください。

「0歳からスイミングスクールに通い始めました。親に『唯一の全身運動だから』という理由で連れて行かれたのがきっかけです。そしたら私がハマったみたいで(笑)、それからずっと水泳を続けています」

―水泳はどんなところが楽しいですか?

「泳ぐこと自体がもうすでに楽しいのですが、水泳という競技はタイムでパッと結果が出るので、そこが個人的には好きなところです。もちろん楽なことばかりでなく、『あれだけ頑張ったのにどうしてタイムが出ないんだろう』と落ち込むときもよくありますが、『もっと頑張れたんじゃないか』と振り返りながら、自分自身と正面から向き合って成長していくことができるのも、大きな魅力かなと感じています」

―一方で、水泳をやっていて大変なことはありますか?

「きつい練習をしているときは、もちろん大変ではありますが、『これを乗り越えたら絶対にいい結果が出るぞ』と思いながらいつも泳いでいるので、そこまで水泳に対して大変と思ったことはないですね(笑)。いつも楽しんで練習をすることができています」

森崎安加里選手

提供:ルネサンス仙台南光台24

 

―現在は背泳ぎを専門種目とされていますが、いつ頃から背泳ぎを専門にされたのでしょうか?

「小学3年生のときです。初めて全国大会に出場したのが背泳ぎの種目で、それからずっと背泳ぎを専門でやっています。自分の体の特徴や、技術を照らし合わせても、背泳ぎがいちばん合っているのかなという感じがしますね。ただ、今でも大会では、自由形やバタフライ、平泳ぎの種目で出場するときもあります」

―水泳を続けていく中で、全国の上位を意識し始めたのはいつ頃ですか?

「小学生までは別のクラブに所属していたのですが、6年生のときに出場したジュニアオリンピックで、みんなが表彰状を持って記念写真を撮っている中、私だけ予選落ちしてしまって表彰状すら持てなかったときがありました。それがすごく悔しくて、『中学生になったら絶対に上位に入って、メダルを獲ってやる!』とそこで火が付きました」

―今の成績から考えると意外なエピソードですね。それからどういった努力をされてきたのでしょうか?

「全国大会に弱かったので、まずはメンタル面の強化に努めました。また、食生活についても、野菜中心のメニューにしたり、肉や魚などもしっかり摂ったりして、丈夫な体づくりを目指しました。あとは、全国大会で絶対にメダルを獲るという気持ちがあった分、練習に対する意欲もこれまで以上に高まっていきました」

森崎安加里選手

―現在、ルネサンス仙台南光台24に通われていますが、クラブの雰囲気はどうですか?

「諸川(佳祐)コーチが担当している今のチームは、みんながとても優しくて、練習中も声を掛け合ったり、きついメニューのときでも『頑張ろう!』って励まし合ったりして、いつも勇気をもらえます。背中を押してくれる存在で、チームメートにはすごく感謝しています。また、諸川コーチも、ときに厳しい言葉を掛けながら、熱心に指導くださります。とてもお世話になっているので、『絶対に結果で恩返ししたい』という思いで、いつも練習に取り組んでいます」

森崎安加里選手

諸川コーチ(左)の指示を受ける森崎選手

 

―2021年は、8月の全国中学校水泳競技大会で3位に入賞するなど、飛躍の1年でした。森崎選手にとって、どのような1年でしたか?

「春に行われたジュニアオリンピックでは、ベストタイムこそ出せましたが、自分が思っていたよりも結果が出ませんでした。悔しい思いをした分、『夏は絶対にメダルを獲ろう!』という気持ちを強く持ち、8月の全中(全国中学校水泳競技大会)での3位以内を目標に練習に取り組んできました。それだけに、全中では『やっとメダルが獲れた』といったうれしさがありました」

―タイムも自己ベストを2秒縮めての入賞でした。

「全中の前の県中総体などは、合宿明けで疲れもあったせいか、あまりタイムは良くなかったんです。でも、全中に向けて今まで練習をしてきたから、『絶対にいいタイムが出せるはず』という自信はありました」

―全中で好成績を残すことができた要因はどこだと思いますか?

「いちばん大きかったのはメンタルの部分だと思います。いつもは全国大会に行くと、どうしても緊張のせいで力んでしまって、自分の力が発揮できずにいました。それが今回の全中のときには克服できたので、そこが大きく成長した部分だと思います。また、泳ぎに関しても、いつもは後半でペースが落ちていたのですが、今回はペースをあまり落とさずに泳ぐことができたので、それも上位につながった要因だと思います」

―中学3年間を振り返って、技術的な部分ではどこが成長したと思いますか?

「これまでは小さい泳ぎをしていて、大きな泳ぎに変えたほうがいいとコーチに指摘されました。そこで、家にうんていがあったので、それを使ってトレーニングを始めたのですが、それから肩甲骨の周りの動きが良くなり、大きな泳ぎができるようになりました。技術面では、そこがいちばん成長した部分だと思います」

―自分の泳ぎの持ち味はどこにあると思っていますか?

「体が浮くところです。小さいときから、水の上に浮くことが好きで、自主練習のときも何時間とずっと浮かんでいました。その分、水の抵抗を減らして泳げるので、そこが自分の泳ぎのいちばんのポイントです。また、身長も大きな武器の一つです。現在、身長は169cmぐらいあるのですが、中学2年生の頃に、ひと月に1cmずつ伸びて、1年間で12cm伸びました。身長が大きくなったことで体重は増えてしまいましたが、サイズを生かしたダイナミックな泳ぎができるようになりました。ちなみに今もちょっとずつ身長は伸びています。まだまだ伸び続けてほしいですね(笑)」

森崎安加里選手

(後編に続く)
取材日=2022年1月12日

■プロフィール
森崎安加里(もりさき・あかり)◎2006年5月18日生まれ、仙台市出身。0歳から水泳を始め、仙台白百合学園小学校3年時のジュニアオリンピックで全国大会初出場。現在はルネサンス仙台南光台24に所属。自己ベストは、200m背泳ぎが2分15秒18、100m背泳ぎが1分04秒40。

 

Photo by 土田有里子

郷内 和軌
郷内 和軌

1992年10月14日生まれ、岩手県一関市出身。一関第一高校卒業後、仙台大学体育学部スポーツ情報マスメディア学科に進学。アルバイト等で執筆経験を積み、2015年4月より岩手県盛岡市の制作会社「(株)ライト・ア・ライト」に入社。地域限定スポーツ誌「Standard」の制作等に携わり、2019年4月よりフリーランスとして活動中。