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Interview

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仙台育英学園高校陸上競技部 米澤奈々香選手インタビュー(後編)長距離は「気持ち」が大事。3年間の集大成に挑む、国内屈指の女子高生ランナー

「都大路」の愛称で親しまれる全国高校駅伝大会において、2年ぶりのアベック優勝を狙う仙台育英学園高校。女子チームで大きな活躍が期待されるのが、エースで主将の米澤奈々香選手だ。今夏のインターハイでは1500m、3000mの2種目で日本人トップの成績を記録。後編では、1人の高校生としての素顔に迫りながら、目前に控えた全国舞台に懸ける意気込み、将来の目標を聞いた。

 

―普段はどれぐらい練習されているのですか?

ほとんど毎日練習しているような感じですが、月曜日だけはフリーで、自分の調子に合わせて練習をするかしないかを決めています。通常の平日だと朝の5時半から朝練習を約2時間やって、あとは部活動を約2時間半やっています。寝るのはだいたい、夜の10時半ぐらい。大会が近くなってくると、睡眠時間を確保したいので9時頃には寝るようにしています。

―朝早くから練習があると、授業中は眠くなりませんか?

そうですね。窓側の席なので日差しが暖かくて眠くなることはよくありますが、今のところは大丈夫です(笑)。また、これまでは部活動の関係でオンライン授業が続いていて、ようやく最近になって学校に行けるようになりました。もちろんオンライン授業だと朝の支度も楽なのですが、学校に行けば、他の部活の友達とも会えるし、楽しくおしゃべりもできるので、やはり今のほうが充実した時間を過ごすことができています。

―ちなみに好きな授業、得意な教科などはありますか?

英語の授業がいちばん好きです。ペラペラしゃべれるわけではないですが、テストだといちばん点が取れる教科かなと。逆に苦手なのは数学。自分の選んだコースが英語を重点的に学ぶコースで、その代わりに数学の授業がないので助かっています。でも勉強しなくていい分、どんどん分からなくなっていますが(笑)。

仙台育英学園高校陸上競技部 米澤奈々香選手

―授業や部活動以外の時間などは、どのようなことをして過ごしていますか?

寮は1人部屋なので、自分の好きなように時間を使っています。昼寝をするときもあれば、好きな音楽を聴きながら、いろいろな支度や部屋の片付けをすることが多いです。ちなみに最近はbacknumberさんの曲をよく聴いていて、「水平線」という曲がとても好きです。

―寮生活で陸上部の仲間と一緒にいる時間が多いと思いますが、この3年間で絆もだいぶ深まったのではないでしょうか?

寮でも学校でも部活でもずっと一緒にいる仲間なので、チームメートは家族のような存在ですし、後輩たちは妹のような存在です。普段の練習ではお互いに競い合うライバルではありますが、それ以外の時間は楽しく過ごすことができています。

仙台育英学園高校陸上競技部 米澤奈々香選手

―チームでは主将を務められていますが、責任感やリーダーシップもこの1年で増したのではないでしょうか?

チームを引っ張っていく立場なので、寮生活、学校生活、部活動まで、まずは自分が全てにおいて手本となるような行動、言動をしていかなければならないと思っています。ミーティングを開く機会も多いのですが、みんなの意見をしっかり一つにまとめるのも自分の役割なので、そこは副キャプテンにも助けてもらいながら、ここまで来ることができています。

―キャプテンになってから、自分の中で意識を変えたことはありますか?

自分から何かを変えたというのはありませんが、最上級生である以上、甘えが出てしまってはいけないというのは、この1年間、ずっと心の中に留めながら過ごしてきました。間違ったことがあったり、ちゃんとできていないことがあったりしたら真っ先に注意しなければいけないし、もし自分もできていない部分があったら、お互いに注意し合おうということで学年間でも連係を取りながら、意識を高く持って生活してきました。

仙台育英学園高校陸上競技部 米澤奈々香選手

―仙台育英で過ごした3年間を振り返って、いちばん成長した部分はどこですか?

釜石先生はそのときの選手の状態を確認しながら、一人一人に合ったメニューを提示してくださります。そのおかげで、自分としっかり向き合うことができるようになりましたし、自分のコンディションをちゃんと把握できるようになったのは、この3年間でいちばん伸びた部分だと感じています。また、親元を離れての寮生活でしたが、これまで両親にやってもらっていた洗濯や家事など、そうした身の回りのことの大変さに改めて気付くことができました。集団生活をするうえでのルールや心構えも身に付いたし、そうした人間性の部分も、とても成長できたと思っています。

―全国高校駅伝大会まで残り1カ月となりました。本番に向けた意気込みをお願いします。

泣いても笑っても、高校として挑む最後の大会になります。どの区間を走るかはまだ分かりませんが、どこを任されても区間賞の走りをして、チームの目標である優勝に貢献する。絶対に悔いのないように、大会を終われるようにしたいです。また、中盤でのスピードについてはずっと自分の課題としてあるので、これからの残りの練習で改善して、中盤でもスピードを維持できるような走りをしていきたいと思います。

―最後に、将来はどんなランナーになりたいか、目標を教えてください。

目標とするランナーはたくさんいますが、その中でも田中希実選手は、一緒に日本選手権を戦った選手でもあります。オリンピックでは素晴らしい走りをされていましたし、本当に尊敬する選手であり、憧れの選手でもあります。私自身、将来の夢はまだ明確には定まっていませんが、どのレースでも力をしっかりと発揮できる、そんな強い選手になれるように、これからも練習を頑張っていきたいです。

仙台育英学園高校陸上競技部 米澤奈々香選手

(了)
取材日=2021年11月17日

■プロフィール
米澤奈々香(よねざわ・ななか)◎2004年2月24日生まれ、静岡県浜松市出身。小学1年時に地元の美園ランニングクラブで陸上競技を始める。浜松市立北浜中学校卒業後、仙台育英学園高校に進学。自己ベストは、1500mが4分14秒74、3000mが8分59秒57。

 

Photo by 渡邊 優

郷内 和軌
郷内 和軌

1992年10月14日生まれ、岩手県一関市出身。一関第一高校卒業後、仙台大学体育学部スポーツ情報マスメディア学科に進学。アルバイト等で執筆経験を積み、2015年4月より岩手県盛岡市の制作会社「(株)ライト・ア・ライト」に入社。地域限定スポーツ誌「Standard」の制作等に携わり、2019年4月よりフリーランスとして活動中。