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フィッシュプロテインで、勝負に勝つ! 笹かまぼこの阿部蒲鉾店が挑むスポーツチームの新しい支え方

(提供:マイナビ仙台レディース)

 

 プロスポーツクラブは、地域のあらゆる企業の「パートナーシップ」に支えられています。サッカー界ではユニフォームの胸や背中などに企業や商品名を入れる「ユニフォームスポンサー」やスタジアムの看板スポンサー、特定の試合を企業の冠試合とする「マッチデースポンサー」や「イベントタイトルスポンサー」など、出資や応援の方法は多岐に渡っています。

 クラブ運営に欠かせない存在であるスポンサーを、WEリーグのマイナビ仙台レディースは「パートナー」と呼び、宮城、仙台で共に成長し高め合える存在として位置づけています。そのマイナビ仙台が仙台の老舗・株式会社阿部蒲鉾店と他にはない「新しいパートナー契約」を結びました。その名も「フィッシュプロテインパートナー」。聞き慣れない言葉ですが、一体どのような支え方なのでしょうか? 株式会社阿部蒲鉾店代表取締役社長の阿部賀寿男さんに伺いました。

様々な形でスポーツチームを支えてきた阿部蒲鉾店の阿部社長

 

―阿部蒲鉾店と宮城のプロスポーツとはどのような関わりがありましたか?

「プロスポーツに対するサポートで一番長いのはベガルタ仙台ですね。J2で優勝した2009年にユニフォームスポンサーとなり、そこからJ1でも数年間続けました。ユニフォームスポンサーを他の企業に譲った後も、別の形でスポンサーは続けてきました。東北楽天ゴールデンイーグルスもスタジアムで売店を出していますし、長く継続してスポンサーをしています」

―マイナビ仙台レディースとは、その前身となるベガルタ仙台レディース時代からのお付き合いですね。

「チーム設立から数年間ユニフォームのショーツスポンサーをしていました。当時は、今も在籍しているGK齊藤彩佳選手をうちの会社で雇用していました。弊社泉工場が(泉パークタウン)練習場から車で数分のところにあるので、そこで5年間お世話になっていました」

―今年9月、マイナビ仙台と「フィッシュプロテインパートナー」契約を締結しました。どのような経緯がありましたか?

「これまでもマイナビ仙台だけではなく、いろんなチームに開幕や節目のタイミングで『差し入れ』として、かまぼこなどの商品を贈ってきました。とても喜んで頂けて、そのようなつながりの中で、金銭面のスポンサー、サポートだけではなく『健康的なサポート』ができればという風に考えていました。マイナビ仙台に対しては、ホーム&アウェイ全試合で、ロッカールームに弊社のかまぼこ商品をご提供させて頂いております」

スタジアムのロッカールームには、栄養補給のため、笹かまぼこやチーズボールが並ぶ(提供:マイナビ仙台レディース)

 

―そもそも「フィッシュプロテイン」とはどのような栄養なのでしょうか?

「フィッシュプロテインは魚由来のたんぱく質のことです。かまぼこは原料が魚なので、たんぱく質が豊富で、必須アミノ酸もバランス良く入っている。元々、かまぼこ業界でも『体に良い』ということはPRしてきました」

―かまぼこ業界でも強く推していきたい栄養なのですね。

「そうですね。数年前にテレビ番組で『かにかま』が取り上げられ、特に筋肉、『速筋』(※すばやく収縮することができる筋肉で、短距離走やウェイトトレーニング等、一瞬の力を発揮するときに使われる筋肉の総称)に良いとデータと合わせて紹介され、かにかまの消費が伸びたんです。実際『かにかま』以外のかまぼこにも体に良いことがたくさんあることからスポットを当てていきたいと考え、『フィッシュプロテイン』という言葉と共にアピールしていこうと、今年の8月から『フィッシュプロテインの日』を制定し活動をスタートしました。そのような背景がある中で、アスリートやチームのサポートにつなげられないかと考えていました」

日本かまぼこ協会「フィッシュプロテイン」

 

―企業の得意分野を生かして、アスリートの体づくりを支えるということについて、どのように考えていますか?

「弊社としてもアスリートの健康サポートで協力ができるというのは新しいチャレンジです。今まで正式に契約として、アスリートの食のサポートというのはなかった。クラブとお話をしていく中で、定期的に支援することによって、より厚く食事や健康面のサポートができればと思いました。こうした契約は、他のプロスポーツでもあまりないですよね」

―興味深い試みですよね。阿部社長がマイナビ仙台に期待することはどのようなことですか?

「プロ女子サッカーリーグWEリーグとしての初年度、チームとしての目標として『初代女王』と掲げていますが、ぜひ頑張って欲しいですね。応援していきたいです」

管理栄養士の菅原さんもフィッシュプロテインに注目する(提供:マイナビ仙台レディース)

 

 「フィッシュプロテイン」の優れた栄養について、普段から選手たちの健康を支えるマイナビ仙台レディースの管理栄養士・菅原麻莉さんにも話を伺いました。実は菅原さん、昨シーズンまではプロバスケットボールB2リーグ「仙台89ERS」で栄養士を務めていたそうです。競技や性別も異なる「女子サッカー」の世界に移籍してきた菅原さんも、フィッシュプロテインの力を選手の健康づくりに役立てています。

―菅原さんは管理栄養士として、どのようなお仕事をしていますか?

「普段は個別に栄養指導をし、遠征先のホテルでの食事の調整をしています。またホームゲーム時、試合前に全員で一緒に食事を摂るのですが、その軽食を手作りしています。その軽食の中に、阿部蒲鉾店さんのかまぼこを置かせて頂いています」

―女性アスリートが積極的に摂りたい栄養成分はどのようなものですか?

「女性選手に限らずですが、サッカーだと1試合で10~11kmくらい走ることになるので、相当なエネルギーの消費があり、筋肉の使用でたんぱく質が失われるという状態です。糖質やたんぱく質をしっかり摂るということが大切です」

―たんぱく質が不足すると、どういうことが起こりますか?

「アスリートは筋肉を使うので、その筋肉の材料となるたんぱく質が不足すると、上手く走ることができません。また筋肉にはエネルギーとなる糖質を蓄える役割もあるので、筋肉が減ってしまうと使えるエネルギーも減ってしまう。たんぱく質は非常に大事です」

―管理栄養士の目線から見た「フィッシュプロテイン」の優れた点は?

「たんぱく質は必要ですが、試合前は消化吸収の良いものを摂りたいので、なるべく脂質は避けたい。白身魚は脂質が少なく、たんぱく質を純粋に摂ることができます。試合前や試合後、手軽に摂れるという面で、かまぼこのフィッシュプロテインは重宝しています。普段の栄養摂取についても、かまぼこという形だと調理が必要ない。料理ができる選手もいるけれど、得意ではない選手もいるので、個包装でパッケージを開けるだけでいいというのは本当に手軽ですね」

―フィッシュプロテインはどのタイミングで、どのように摂ると良いですか?

「たんぱく質は体に蓄積しておける時間が限られているので、朝・昼・晩と摂ると良いと思います。尚且つ試合を行うとなると、その前後で摂るということが大事ですね。特に試合後は、アスリートにとって『ゴールデンタイム』と言われるのですが、試合が終わって30分以内に糖質と一緒にたんぱく質を摂ると吸収が良くなるので、積極的に摂りたいタイミングですね」

試合の前後、選手たちはかまぼこでフィッシュプロテインを積極的に摂取する(提供:マイナビ仙台レディース)

 

―実際に選手たちがかまぼこを食べている様子をご覧になっていかがですか?

「選手がかまぼこを食べている姿は本当によく見かけます。ロッカールームで、一番にかまぼこに手が伸びるという選手もいます。『チーズボール』がみんなのお気に入りで、あっという間になくなりました。試合前のタイミングで置くようにしているのですが、試合後にも食べたいと、他の選手に食べられないようにキープしておく選手もいますね(笑)」

―アスリートにとって良いフィッシュプロテインは、一般の人も摂るべき栄養と言えそうですね。

「そうですね。たんぱく質は子供やお年寄りはもちろん、全ての方に必要な栄養です。一般の人でも一日60グラムのたんぱく質を摂らなければいけないと言われていますが、朝食を欠食すると摂りきれないですよね。笹かま1枚で5gくらいは摂れると思います。普段の食事に+1枚あると良いですね」

フィッシュプロテインを通して、チームと企業が共に手を携え、勝利を目指していく。

 

 ピッチで繰り広げられる90分の真剣勝負。厳しい競争に身を置く選手にとって、それを支えてくれるパートナーの存在はきっと心強いはずです。普段から食事に人一倍気を遣っているGK松本真未子選手も「(かまぼこのフィッシュプロテインは)積極的に摂っています。ロッカールームでかまぼこを見つけると『あぁ、今日もある!!』とテンションが上がるんです。大好きですね」とサポートに感謝をしています。栄養満点のフィッシュプロテイン。美味しく食べることを楽しみながら、マイナビ仙台レディースは、ますます強くなり、WEリーグ初代女王へと駆け上がっていきます。

 

阿部蒲鉾店

マイナビ仙台レディース

村林いづみ
村林いづみ

フリーアナウンサー、スポーツキャスター。2004年からラジオでベガルタ仙台のトーク番組を担当し、2007年よりスカパー!や DAZNで中継リポーターを務める。ベガルタ仙台レディースは2012年のチーム発足時より取材を開始。ヒーローインタビューと勝利の祝杯を何より楽しみにしている。