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キャリアデザインで女子サッカー選手の未来は変わる。マイナビ仙台レディースとマイナビアスリートキャリアが組むタッグ

株式会社マイナビスポーツクラブ 粟井俊介社長(左)、株式会社マイナビ アスリートキャリア事業室 木村雅人室長(右)(提供:マイナビ仙台レディース)

 

 5月18日、WEリーグのマイナビ仙台レディースは、株式会社マイナビが展開するアスリート向けキャリア支援サービス「マイナビアスリートキャリア」と人材育成におけるパートナー契約を結んだことを発表した。「日本でいちばん、”ひと”が育つクラブ」。このコンセプトを掲げ、秋に開幕のWEリーグに参戦するマイナビ仙台レディース。プロ選手としてサッカーで結果を出すことはもとより、マイナビアスリートキャリアの育成プログラムを受講し発信力を強化。仙台から「女子プロサッカー選手」の価値を高めることを目指す。

 18日に行われたオンライン記者会見には、株式会社マイナビスポーツクラブの粟井俊介社長と、株式会社マイナビ アスリートキャリア事業室室長の木村雅人氏が出席した。「プロアスリートには、その生き方や悩み、迷い、葛藤、壁への向き合いという生きたストーリーがある。その向き合い方が、日本中、世界中の誰かの背中を押すきっかけとなるようメッセージを発信していきたい」と粟井社長。木村氏も「目指すのは主体性、創造性、状況判断を有する、社会で活躍できる人材。幼少期から培ってきた競技で活躍する力はもちろんだが、競技以外でも活躍できる人材を育成すること」とプログラムの意義を語った。

 「キャリアデザイン」とは、自分の職業人生を自らの手で構想・設計=デザインすることである。厳しい競争や挫折、けがなど現役中に見舞われる様々な困難、そしていずれは訪れる引退の時。様々な不安を抱えながらも自らの価値を上げていくことが求められるプロアスリートにとって、苦境を乗り越える力をつけ、主体的にそのキャリアを形成していくことは重要な意味を持っている。

マイナビ仙台レディース  練習風景

(提供:マイナビ仙台レディース)

 これまでもプロアマ問わず、様々なジャンルのスポーツ選手のキャリアデザインを手助けしてきた「マイナビアスリートキャリア」。正規の授業科目として導入している大学もあるほど、キャリアアスリートスクールの育成プログラムは高く評価され、信頼を得ている。プログラムは「計画力」「生き抜く力」「セルフコントロール」「発信力」などの全12テーマで構成され、マイナビの選手は1~2ヶ月に1回のペースで2年間かけて受講していく。

真剣に話に聞き入る佐藤楓選手(左)と宮澤ひなた選手(右)

真剣に話に聞き入る佐藤楓選手(左)と宮澤ひなた選手(右)

 すでに第1回「計画力」(4月17日)、第2回「課題発見力」(5月20日)が実施された。選手たちは講師の株式会社マイナビ アスリートキャリア事業室の山中昭宏氏の指導の下、個人や4~5人でのグループワークを行い、自ら考えたプランを発表、実践している。「課題発見力」のプログラムでは、「ポジティブ思考が課題解決に向けた好循環を生み出すこと」や「自分の課題を断片的に見るのではなく、探求し、本質を捉えることの重要性」を学んだ選手たち。まずは自分で考え、仲間と意見を共有する。ディスカッションを繰り返す中で、自分やチームメイトの意外な一面を知ることになる。こうしてピッチの外で得たものが、ピッチの中でも生きていく。

グループで話し合った意見を、浜田遥選手が代表となって発表した

グループで話し合った意見を、浜田遥選手が代表となって発表した

ワークシートに考えをまとめる奥川千沙選手(左)と西澤日菜乃選手(右)

ワークシートに考えをまとめる奥川千沙選手(左)と西澤日菜乃選手(右)

「もともとの知識に新しい知識を取りこみ、織り交ぜることを意識している」というDF奥川千沙選手は、プログラム受講を大きなチャンスと捉えている。「自分を見つめなおすことはしてきたが、チームメイトそれぞれが思うことをディスカッションして共有したことがなかったので良い機会。お互いに様々な意見がある中で、サッカー以外のいろいろな面を知ることができる。『課題発見力』では、自身の分析力のアップを狙っていた。それぞれの考えをグループで発表することでチームのレベルアップに繋がると思った」と感想を寄せた。「アスリートとしての自分ではなく、一般人としての自分に置き換えても、人生を豊かにすると思う。小さいことをコツコツ積み重ね経験することで、プロ生活にいい影響をもたらすと思う」と前向きに取り組んでいる。

 プログラムを受講したことによる変化は現れ始めている。粟井社長は「2月からサッカー中心の生活を送ってきた選手たちにとって、一度立ち止まり、考えて整理するという機会にもなった。選手が自分の現在地を、周りとコミュニケーションを取りながら整理できたことはプレシーズンマッチにもいい影響を及ぼしていると思う。サッカー、サッカー以外といろいろな切り口を持ってコミュニケーションをとっていくことで、チームワークを向上させることに役立っている」と手ごたえを感じている。受講を重ねることで高まっていく発信力に大きな期待が寄せられる。

    WEリーグの代表・岡島喜久子チェアも「非常に素晴らしいこと。マイナビが企業として、アスリートのセカンドキャリアに関する部門を持っているので可能になったことだと思う」と、クラブの取り組みを高く評価している。「理事会の中で『高校・大学生がWEリーグをどう見ているか』ということが議題に上がった。大学生になると『プロになることに不安がある』という意見がある。WEリーグとしても道を作ってあげたいと考えている」と岡島チェア。選手たちがプロとして輝くために、リーグもキャリアデザインへのアプローチを模索している。いち早く取り組んだマイナビ仙台の事例は、一つののモデルケースになるかもしれない。

 WEリーグの開幕でこの秋、選手たちにスポットライトが当たる。女子プロサッカー選手という職業が確立し、広く少女たちの憧れの存在になるために。それには選手一人一人の人としての成長や充実が欠かせない要素となるはずだ。「日本でいちばん、”ひと”が育つクラブ」の新たな挑戦は、着実に進んでいる。

 

マイナビアスリートキャリア:https://athlete-career.mynavi.jp/

村林いづみ
村林いづみ

フリーアナウンサー、スポーツキャスター。2004年からラジオでベガルタ仙台のトーク番組を担当し、2007年よりスカパー!や DAZNで中継リポーターを務める。ベガルタ仙台レディースは2012年のチーム発足時より取材を開始。ヒーローインタビューと勝利の祝杯を何より楽しみにしている。